熊本でトランプをプレイするとなると、ババ抜きや七並べなどとならんで「きりふ」は定番ゲームの一つです。 小学生高学年から中学、高校のとき、特に疑問も感じず「きりふ」を数え切れないくらい遊びました。 大人になり、ドイツゲームと出会い、さまざまなトランプのゲームも遊ぶようになって知った衝撃の事実は「きりふ」は熊本でしか遊ばれていないということです。もしも知り合いに熊本の人が居るなら教えてあげて下さい。きっと驚くと思います。
熊本ドイツゲームの会では20周年を迎えるにあたり、何か記念となるゲームを作りたいと考えました。その中でテーマに選んだのが「きりふ」です。その理由の一つは「きりふ」が熊本独自のもので、全国的には知られていない以上、このままでは消えてしまう可能性もあると考えたからです。趣味が多様化する今、子どもたちが「きりふ」で遊ぶ機会も減っているでしょう。大人たちはルールを忘れていることも多く、そのまま消えて行ってしまう前に、ルールをしっかり残し、後世に伝える使命があると考えました。
しかし、「きりふ」は「大富豪」と同じく、とてもローカルルールが多いゲームです。そのため、ローカルルールを整理し、一つの基本ルールとしてまとめました。これは当会推奨の遊び方ではありますが、もちろん既存のローカルルールを否定するものではなく、さまざまなルールを入れてもらって良いと思います。
例えば、以下のようなルールがあります。
- 階段を使うか、使わないか
- お供(おまけ)を使うか、使わないか
- 切り札はどう決めるか
- ジョーカーを使うかどうか
- おそろいが3枚以上でも可能かどうか
- 階段の最低枚数は2枚か3枚か
- 階段はスートをそろえるかどうか
- スペードを切り札にできるかどうか
これらは実際にはプレイ前にプレイヤー間で合意したルールでプレイされていました。「きりふ」を始めるにあたってまず「階段有り?」「おまけ有り?」と聴くのは定番のやりとりです。
「KIRIFU」では、よくプレイされているルールを元に基本ルールを決めました。階段は使う、おまけも1枚あり。ただし、おそろいのみ。といった感じです。
用語については「お供」は「おまけ」と言うことの方が多いと思いますが、どちらを正式名称にするかを考えた際、よりくだけたいい方である「おまけ」は通称とし、正式には「お供」の名称を使うことにしました。
また、本来「きりふ」はトランプでもできますので、このゲーム独自のオリジナル要素も入れてあります。キャラクターカードがそうです。
また、「KIRIFU」ではカードは11(J)までしかありませんが、これは制作上の都合です。印刷所のトランプ54枚という仕様があり、追加カード10枚を入れると通常のカードは11までが限界となりました。ただ、この変更は意外にもいいプレイ感をもたらしました。通常より山札が切れることが速くなり、勝負が迅速に行えるからです。
また、得点のルールも「きりふ」には存在しません。そこで、人数による順位点として規定しましたが、これは変えてもいいでしょう。例えば最下位になった回数が一定になったらその人の負け、のような感じです。
それ以外にも、切り札のカードが分かりやすいように明示しておくルールもオリジナルとして入れてあります。
「KIRIFU」は熊本人にとっては定番ゲーム「きりふ」ではありますが、キャラクターカードによる爽快さが加わり新たな楽しみ方があります。「きりふ」を知らない方には変わったゲームとして楽しめるでしょう。是非、熊本の定番ゲームを楽しんでみて下さい。
※各スートの意味
スペード:名産品(サイズが小さい順)
ハート:自然(北から小さい順)
ダイヤ:名所(北から小さい順。ただし、上通り、下通り、新市街は連番)
クラブ:歴史(古い順)