熊本ドイツゲームの会

ドイツ製ゲームの効能

実はドイツゲームをすることで具体的な効能を得られます。

もちろんゲームは楽しむために行うのが第一です。ですが、ドイツゲームにはそれ以外の様々な効能があると考えます。ここではドイツゲームをすることでどのような影響が人に及ぼされるのかを考えてみました。それはコミュニケーションの増進論理的思考能力の強化発想力の強化交渉力の強化です。また、子供に関する効能も最後に追加しました。長文なので自分が興味があるところを選んで読んでみてください。

コミュニケーションの増進

第一回の様子から

ドイツゲームをするためには何人かとテーブルを囲んでプレイする必要があります。当然、会話が無くてはゲームが成り立ちませんし、面白くありません。また、ドイツゲームには交渉や競りといったコミュニケーションを促す要素がルール的に入っているものがあります。これらのゲームではコミュニケーションせざるを得ないのです。現代人には苦手な人も多いコミュニケーションの能力を楽しみながら磨くことが出来るのです。

また、親と子、夫婦間など最近コミュニケーションが少なくなってきたなあ、と感じられる関係でもドイツゲームをプレイすることでコミュニケーションを促すことが出来ます。教育や研修などで使う場合にも有効でしょう。実際、私はIT関連の講師をしていますが、ゲームを講習に取り入れることでそれまで会話がなかった受講生たちが親しくなり、講義がスムーズに進み、お互い教えあうといった効果が見られました(実は次項の論理的思考能力のために講義に取り入れたのですが、コミュニケーションの効果もかなりあったようです。この件についての詳細報告はこちら)。

論理的思考能力の強化

イシス&オシリス

最近ビジネス書で話題の論理的思考能力。すでに時代はただ言われたことをやるだけではなく、自分で考え行動する社会になってきています。そのために必要なものが論理的思考能力です。これはビジネスの世界だけではなく、例えば論文など文章を作成するときにも必要ですし、未来を予測しリスクを避けるためにも必要です。あるいはコンピュータプログラミングをするためにも非常に必要な能力です。いまや論理的思考能力は上手に生きていくために欠かせない力と言っていいでしょう。

このような論理的思考能力を強化するために何をしたらいいか、ということですが、ドイツゲームはそのためのツールとして非常に優れているのです。まず楽しみながら論理的思考能力を高めることが出来る、ということ。そして、自然に意識せずに論理的思考能力を鍛えることが出来る、という面でドイツゲームは優れています。

では、なぜドイツゲームは論理的思考能力を高めることが出来るのでしょうか。それは、いくつもの側面が相互に関連し合った結果です。まず一番最初のレベルでは、ゲームのルールを理解する、ということにあるでしょう。ドイツゲームのルールは簡単なものから難しいものまでありますが、全体的にはそれほど難しくありません。しかし、種類は豊富です。さまざまなゲームのルールを理解すると言うことは、文章の読解に他なりません。そしてそれを実際に「ゲームのプレイ」という現実の問題として実行しなければなりません。これはビジネスのルールを把握して、実際にビジネスを行うことや、プログラミング言語の文法を理解して実際にプログラミングすることに似ています。つまり文章を読んで応用を行う練習になるわけです。

それから、ゲームをする上では勝敗がつきものですが、「どうやってゲームに勝つか」を考えること。これが論理的思考そのものです。自分に与えられたリソース、相手にあるリソース、その関係など現状の把握を行い、ゲームの手順、順番などを分析しそれを元に勝つためには何が最適かを考えること。これは難しそうに思えますが、実はトランプなど簡単なゲームでも自然に人間は行っていることです。ドイツゲームではこれをより高いレベル(簡単に最善手がわかるのではなく、相当考えないと分からないレベル)で行うことになります。

将棋や囲碁などが「頭にいい」とよく言われ、学校などのクラブ活動にも採用されていますが、それと同じ理由でドイツゲームも「頭にいい」ゲームです。ただ、将棋や囲碁は当然ルールが一通りしかありませんがドイツゲームの場合、何種類もあるので飽きることがありません。また、運の要素がドイツゲームにはあるため、現実と同じように不確定な要素を考慮に入れて行動を選択しなければなりません。そして一対一ではなく複数人数で遊べることで、その関係を考慮しなくてはならないところが大きく異なります。

発想力の強化

ナッシュ

発想=ひらめきの力を強化するにもドイツゲームは向いています。もちろん、勝利を目指す戦略を考えるうちに新たな発想がわいてくる、という面は将棋などと同じようにあるわけですが、それ以外にもドイツゲームには特に日本人にとって発想を促す要素を持っています。

それは、ドイツゲームのルールの奇抜さです。日本人が今まで経験してきたゲームとは違う感覚を持ったゲームがたくさん存在しています。それらはドイツゲームの歴史をふまえて改良され現れてきたゲームたちですが、日本人がそれらにふれると「どこからこういう発想が出てくるのだろう」と思わずにはいれないゲームばかりなのです。例えば自分が好きな位置まで進んでいいすごろくや、自分の好きな枚数だけカードを引けるカードゲームなどは、最初に聞いたときには信じられませんでした。

このような「発想の嵐」に浸ることで自然と頭が柔らかくなっていきます。そして、どのような発想でこれらのゲームが出てきたかを認識すると、発想法が理解出来るようになってきます。例えば、逆転の発想や極端化などです。発想が必要な局面ではそれらを自然に応用することが出来るようになっているはずです。

交渉力の強化

カタン

ドイツゲームの中には、交渉や競りをゲームの要素として取り入れているものが多数有ります。これらは日本のゲームにはあまり見られないものです。実際、日本人が苦手とする能力といってもいいでしょう。しかし、欧米ではこれらの要素は非常に一般的なものなのです。よく欧米人は狩猟民族・日本人は農耕民族といったカテゴリで欧米人が日本人より駆け引きがうまいことを説明します。確かに日本人は駆け引きについては得意としないところでしょう。

しかし、経済のグローバル化に伴いビジネスマンは海外との駆け引きを要求されますし、そういうものとは関係ないと思いがちな一般の日本人でも例えば2002ワールドカップでの地方自治体のキャンプ誘致活動のように海外との交渉をしなければならなくなったりもします。そして、海外とのやりとりがない場合にもビジネスそのものは本来駆け引きですし、これから日本人もさまざまな場面で真剣な駆け引き・交渉をしなければならない場面が増えていくでしょう(プログラマ・SEにとっては顧客との仕様の交渉や上司との設計の打ち合わせなど)。

そのような交渉能力を鍛えることは日常では難しいことですが、ドイツゲームをすることで簡単なレベルから順に交渉能力を鍛えていくが出来るのです。というのは、ドイツゲームでの交渉・取引の多くはルール化されており、そのルールに従ってやればいいので初心者でも交渉を行うことが簡単に出来ます。交渉や駆け引きとは何か、といったレベルから学んでいけるわけです。そこで簡単な交渉ゲームから交渉の基本を学んでいき、本格的なゲームをすることでさらに上のレベルの駆け引きを学んでいけます。

例えば、「競り」も駆け引きでしょう。競りのような駆け引きは苦手な人も多いでしょう。しかし、ドイツゲームでの競りは本格的な競りもありますが、ほんとにちょっとした競りもあります。例えば一人一回だけビット出来る競りなどです。そのような競りではあまり駆け引きの感覚はなしに入っていけます。そうして基本を学ぶと、本格的な競りも出来るようになり、次第に駆け引きが分かってくるようになるわけです。

このようにドイツゲームは交渉力を鍛えることにおいて、非常に優れたツールといえます。

子供にとっての効能

小学生低学年以下のお子様の場合、ドイツゲームのようなボードゲームをプレイすることには大人とは違った効能があります。

まず、「ルールを守る」ということを覚えることです。ゲームはルールを守ることで成り立ちます。自分の手番を守る、これだけのことでも小さい子供には守れないことがあります。しっかりルールを守ることでみんなが楽しめる、ということを自覚する一歩に出来るでしょう。

次に楽しみながらの学習効果も期待できます。例えば、点数の計算をするときなどに足し算は必須です。また、カードの数を足しながら出していくゲームもあります。素早い計算が必要になるわけです。また、神経衰弱的な記憶のゲームもありますし言葉を使うゲームもあります。

通常の勉強では学習できないようなことも学べます。例えばバランスゲームの場合、大人ならば一見してそれを引き抜いては崩れると判断できる柱も子供は判断できず引き抜いてしまいます。それを引き抜いて崩れることにより、立体物のバランス、重心を学ぶことが出来ます。

最近の子供は1人で遊ぶことは得意でも大勢で遊ぶとなると何をして良いかわからない、という子も多いでしょう。ドイツゲームは大勢で遊ぶ機会を子供に提供すると共に、子供自身で遊び方を考えるきっかけ・ヒントにもなります。ルールをこう変えてみたらどうだろう、こうしたらどうか、といろいろ工夫してみることを子供はすぐに始めます。そのような柔軟性を子供時代から付けることが出来ます。

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